Ninjaで日本一周 EP88 8月2日・夏の空の下で
てらしーです。
8月2日。
この日のことを書く時が来ました。
悲しいお話です。
113日目。
昨晩キャンピングカーの方からとても美味しい夕張メロンをいただいた。
そんな翌朝。今日も天気はいい。
最初の目的地は太田山神社。絶壁にある神社です。
かなりの傾斜を登って行く。
…道…?
こんなところによく建てたものです。
まだ半分も登ってない。
ひたすらひたすら登って行く。汗が止まらないし、日頃の運動不足を痛感する。
足場が不安定で怖い。50分くらいかかっただろうか。
だけど眺めは素晴らしい。ちょっとした登山気分。
札幌で買った仮面ライダークローズチャージ(旅中になに買ってんの)
まだ頂上ではなく、さらにここを登らなければならない。
でも体が言うことを聞かず、登るのを断念。いつかリベンジしたい。
他のここに訪れた人たちは大体登れているそうです。僕が極端にヘタレなのでしょう。
子供の頃から運動は苦手なので。
無事下山。降りる方が危ないです。怪我をしないように気をつけましょう。
そしていよいよ脱・北海道!
少し休憩して、函館に向けて出発!!
北海道を出るということは、この旅の終わりは近いということ。
なんだかんだ1ヶ月以上滞在していた。
後ろ髪引かれながらも走って行く。日本一周チャリダーを追い越したり。
函館まであと65kmという標識が見えてきたり。
あとは函館観て、今晩か明日には本州に戻るだろう。なんて思っていた。
だけど。
僕は函館には辿り着かなかった。
お昼を少し回った頃、道の駅YOU・遊・もりに到着。いつものようにトイレ休憩して、何気なくツイッターを開いた。
すると、一件のDMが届いていた。
送り主は知らない人。
とりあえず内容を確認する。
そこにはこう書かれていた。
「突然すみません。〇〇の彼女です。〇〇は昨日単独事故を起こしこの世を去りました。てらしーさんのことは聞いていたので連絡しました」
〇〇はこの旅でできた友人の名前だった。一応名前は伏せておきます。以後は「彼」と呼びます。
とまあ、突然こんなものを目にしたわけで、正直「…は?」としか言いようがなかった。
いやいやいや。だって、この間会って談笑してたんだよ?
昨日死んだ??
なに?スパム?
ギレンザビの真似して「冗談はよせ」とでも言えばいいの??
とにかく混乱した。何が起こっているのか全くわからない。
しかし彼のは話していた。北海道で彼女と合流して一緒に走ると。
DMをくれた彼女の投稿を見てみると、彼のバイクが一緒に写っている写真がある。
寒気がした。
なんだか心臓がバクバクしてきた。
まずは落ち着こう。
ツイッターで繋がってる皆さんは、ほとんどが本名を知らない。知っていてもフルネームはわからなかったり。ネットあるあるなんだけど。
しかし幸い彼とは電話番号を交換していて、本名フルネームを聞いていた。
名前はちゃんと聞いておいた方がいい。
幸いすぐ近くに警察署があったので確認しに行ってみる。
事故のことを尋ねると、詳しいことは親族にしか話せないと言われた。もしくは該当地域の警察署でないといけないと。
そりゃそうだけど、とても腹立だしい。警察に怒りを向けるのは違うのはわかってはいるけど。
教えてもらえる範囲で教えてもらった。
「確かにそのお名前(彼の名前)の方が昨日事故で亡くなってます。ニュースでも流れています。これ以上は言えません」
………
事故のことをネットで調べて見たけど見つからなかった。
でも警察が嘘をつく理由はない。
…本当に…?
いや、信じない。自分自身で確かめるまでは信じない。
彼女に電話番号を送り、一気に引き返すことになるけど、該当地域の警察署に向かうことにした。
下道で約4時間。
一刻でも早く向かいたかったので高速を使うことにした。それでも3時間。
迷っている時間も惜しいのですぐに走り出す。
まぁ北海道は下道も高速道路みたいなもんですけどね←
高速道路は滅多に使わないし、ましてや初めての道で荷物も積んでいる。
そんな状態で100kmで走るというのは怖い。
精神状態も、自分で思ってる以上に乱れているだろう。本来ならバイクに乗るべきではなかったと思う。でも今の自分にはこの手段しかないし、ほかを考える余裕もない。
ガソリンも減って来ていた。給油する間も惜しいけれど、安全を最優先しないといけない。
道中ののサービスエリアは全て止まり、逐一休憩していく。
その度にオリオンさんが持たせてくれたブドウ糖を頬張る。集中力を切らしたらやばい。
でも運転中。
北海道なんて広くて直線的な道ばかり。100kmで走り続けているのに進んでいる気が全くしない。
そんなか孤独の時間が続く中で恐怖を感じた。
「バイク事故で友人が亡くなった」
バイクに乗っていることが怖くてたまらなくなった。
自分も今いつ死んでもおかしくない状態。何か失敗したら自分も死ぬかもしれない。
「バイクを降りたい」
初めて心の底からそう思った。
でも、今は進むしかない。恐怖と戦いながら、ただ走り続ける。
SAで休憩して出発しようとした時、突然クラッチペダルが下がらなくなった。
どれだけ踏んでも下がらない。
なんだよこんな時に!!って声を上げてしまった。
確認すると、ステップを固定しているボルトが緩んで出てきていて、それがペダルに干渉していた。
なんでこんなところが外れかかっているんだ??
でもよかった。故障じゃなかった。
レンチで締めて再出発。もしかしてニンジャが「落ち着けよ」って言ってくれたのかもしれない。
空がオレンジに染まり出して来た頃、もう少しで到着だったのに、高速の出口を間違えて手前で降りてしまった。そこからさらに1時間。結局変わらないじゃないか。
どうにもならないけどクソッッッ!って喚く。
18時頃だっただろうか。警察署まであと10分というところで、彼女から電話がかかってきた。
「もう葬儀場に移動しています」
認めたくなかったことを認めるしかなくなった。でもまだ信じられない。
教えてもらった場所へ向かう。
葬儀場に到着し、中に入る。
そこにいたのは彼のご両親と妹さん、連絡をくれた彼女、そして、
すぐそこで、彼が眠っている。
顔が傷ついているけど。
そう言われながらも眠る彼の顔を見ようとした。
こわい
こわい
こわいこわいこわいこわいこわい!!!!!
何が?遺体を見るのが?事実を受け止めるのが??
こわくて顔を見ることができない。もう泣きそう、いや泣いていた。体の震えが止まらない。
しばらく動けなかった。
見たら、終わりなような気がして。
…
彼と対面した。
ほんとだ。痛々しく傷ついている。
でも、とても穏やかな顔。
苦しさとか辛さとか、負の印象は全く感じなかった。
ただ、僕は泣いた
なんで泣いているのかもわからないくらい
泣くことでしか訴えられない幼子のように
ただただ、僕は大声で泣いた
多分、あそこにいた誰よりも泣いた
………
長くなってしまったのでひとまず今回はここまでにします。
この後のことは次回書きます。
続く→