Ninjaで日本一周 EP89 夜、泣き疲れて

てらしーです。

 

前回の続き。113日目の夕方。

 

葬儀場で彼とご家族と彼女と対面。彼と過ごした時間はほんの少しだったけど、僕が知っている彼のことを全て話した。

 

ご家族からすると知らない顔だったようなので話せてよかった。

話している間にも何度も何度も涙が出てきた。

 

僕は人の「死」にほとんど触れたことがない。身内は健在で、葬式も一度しか経験したことがない。

その時は兄の友人の葬儀。といっても面識はほとんどなかったし、あの時は小学生だった。とはいえその時も泣いたのだけれど。

 

大人になって初めて「死」というものに対峙して、純粋に怖かった。

人間って死ぬんだな。そんな当たり前のことだけど、多分僕の中ではこの時やっと、それが事実になったんだと思う。

 

 

ようやく落ち着きを取り戻し、お暇する。家族で過ごす時間があるから。

「息子のために泣いてくれてありがとう」

そう言ってくれたことが、よくわからないけど救いになった。

 

 

 

さすがに野宿する気にはなれないのでネカフェに向かう。入る前に父に電話した。

父には旅の様子を定期的に話していて、彼のことも数日前に話していた。

 

実は父も、少し前に会社の元同僚を3人事故で亡くしていた。

葬儀に出たけど死んだという実感は全然ない、と言っていた。今の自分の心境と近かったのだろう。

 

そして、必ず生きてこの旅を終えることを約束した。

 

もう1人電話した人がいる。東京のシェアハウスで一緒に暮らしている、はなこさん。

彼女は感性がとても強い人。

「たぶん、彼の人生はここまでの人生って決まってたんだよ。だからそれを全うしたんだと思う。これからてらさん(僕)が何かをする時、彼も一緒にやっていくんだよ」

 

そう言ってくれた。

 

そうなのかな。そう思いつつも、今はただただ悲しむことしかできなかった。

 

 

ネカフェに入るもシャワーがなかった。風呂に入って再び訪れた。

個室で1人。頭の中は今日起こった出来事が堂々巡り。疲労もありなんだか放心状態。

 

とにかく休もう。

 

久しぶりのネカフェの個室は窮屈で、体を斜めにしないと眠れなかった。

 

 

114日目に続く→